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Break: 気持ちの整理

リョウの心の中でひとつの整理ができたようです。

「もし、あの人が好きになっていい人だったら
 きっと今でも好きなんだと思う。」

既にこの日記にも記したように、あの人とは
リョウのお兄さんのことです。

私にはうすうす判ってはいたことでした。
リョウの一見不自然にみえる恋愛経験はやはり彼女の
特殊な過去に強く影響されたせいでした。

「やっぱり、あの時(お兄さんの愛撫に)感じていたんだろう?」

リョウはコクリとうなずきました。


ようやく、リョウは自分の記憶の奥底に隠していたことを
認めました。
ずっと長い間この隠していた事こそが彼女を苦しめていた
元凶でした。

私はどうしようもないほど取り乱しましたし
彼女のお兄さんに嫉妬しました。

でも、これは彼女にとっては非常に大事なステップ
なのはわかっていました。
だからこの告白を恨むことはできませんでした。


あとで、リョウからメールが来ました。

「ごめんね。
 でも、ほんとに愛してる。
 愛してるのは、藍だけだから。」


私も、愛してる。リョウ。
心から愛してる。

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開放 ~進化~

否定して欲しかった言葉を、リョウにあっさりと認められてしまって
私は、気が動転してしまっていました。
でも・・・今、私が崩れるわけにはいかないと思いました。

リョウは今、気持ちが素裸の状態のはずです。

このまま、ほうっておくわけにはいかないと思いました。
どうしていいのかわからないまま、私は言葉をつなげました。

ことが起きたのは、子供のときで、リョウ自身よくわからなかったのだから
  兄との性的な関係で、自分が感じてしまったことを、許してあげよう。
  長い期間、そうした関係を持ってしまったことを、許してあげよう
今現在のリョウは成長していて、性的に感じることは普通だよ。
過去のそうした性的経験のせいで、今になっているのではないよ。
人は、変化しているのだから。

今、十分大人になり分別もつくようになっていて、性欲のコントロールもできるようになってきている。
  だから今、リョウがSEXで感じることを許してあげよう。
  自分が淫乱になったり、スケベになったり、へんたいになったりするのを許してあげよう。

と。


リョウは・・・全く拒否しませんでした。全てを受け入れたのです。
今までの抵抗は、いったいなんだったのだろうかと思うほどに。

一連の話が終わり、2人とも少し落ち着いたところで、リョウは私にいいました。
「藍ね、魔法使いみたい・・・。」

私が言えることは、ひとつだけでした。
「おめでとう。リョウ」


長い長い道のりでした。
こういう機会がなければ、まだ未だにリョウの心の壁が何なのか、わからないままでした。
ようやく1歩。ほんのちょっとの1歩。
でも、大事な大事な1歩を踏み出せた気がします。


記憶の奥底にあったリョウの傷跡が1つ、表面に出ることで癒されました。
そして、今までどうしても不可解であったリョウの巨大な拒否感が、1つ消えました。
この日は、2人の歩みの1里塚になると思います。




P.S.

今、思い返してもこの日以来、2人の関係が大きく動き出したと
つくづく感じます。
一歩、自分の過去を素直に認めて、今現在の自分を認めることが出来たリョウ。
そして、今までどこかにあった躊躇感を、どっさり捨てることが私。

明日からは、この日の後の2人の関係の変化を綴ってみたいと思います。

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過去からの呪縛 そして・・・ ~進化~

尊厳・・・防御本能・・・
その言葉が私の頭に思い浮かんだとき、ふと思い出したことがありました。

そう、それはリョウの過去の辛い思い出です。
この日記で前に記述したように、リョウは過去に血のつながったお兄さんに
悪戯をされたことがあります。

リョウの記憶は、途切れ途切れの断片的なものばかりでした。
経験した時期が小学生。
すでに時間がかなり経ってしまっていたことも、原因の1つですが
リョウ自身、こうした記憶を忘れたいと思っていたところもあるのではないでしょうか?

そんな中で、リョウに話を聞いた当初から、私がどうも腑に落ちないことが1つありました。
それは、リョウとお兄さんの関係がかなり長い期間にわたって続いたことと
もうひとつは、リョウ自身がお兄さんの部屋を訪ねて行ったことです。

普通、そのようなことがおきれば・・・怖がって
もう2度と、部屋を訪ねたりしないのではないだろうか・・・??
何故?どうして、リョウは自ら行ったのだろう・・???


・・・・・

私はここで、あまり考えたくないシナリオを考えました。
「リョウは、本当は行きたかったのではないだろうか?
 リョウは、気持ちの中では罪悪感はあったのだろうけど、体が反応してしまったのでは無かろうか?
 そして、中学生になって知識が増え、精神的な自立と共に兄との関係を断ち切った。
 同時に性的な罪悪感と嫌悪感と共に、この時の記憶を封印したのではなかろうか。」
と。

この過程が正しいとすると、リョウが何故
高校生の時に、狂おしいほどの欲望を感じたのかということの説明もできます。
思春期に、無理やり押さえ込んだ性的な衝動が
体の成長と共に一気に表に出始めたと考えると、つじつまが合うのです。
事実、リョウと似たような幼児体験を持つ女性が、成長して性に走ることは少なくないと聞いたことがあります。

そして、この過程を何より後押しするものは、リョウ自身が今現在
性的に乱れることを、心の奥底で嫌っていることなのです。
子供の頃の性感の経験を、リョウは必死で隠そうとしているのであれば
自分が今このように淫らになってしまっていると思うのは
リョウは、何があっても避けたいのではないでしょうか?
それは、自分の過去を守り、自分の尊厳を維持するための防御本能なのではないでしょうか?

だからこそ、自分で自分が淫乱であることなど絶対認めたくなく
許すことさえできない、という抵抗をしてしまうのではないでしょうか?


ここまで考えがいたったときに、私はこの仮定が正しいことを直感しました。
でも、どうしてもこの仮定は認めたくありませんでした。
自分の愛する人の、そういう過去を受け入れるということは
あまりにもつらいことです。

リョウにこの話をすることは、かなり躊躇しました。
でも・・・やはり聞くべきだと思いました。
なるべくリョウがびっくりしたり、傷ついたりしないように注意しながら
尋ねてみました。


リョウの返答はこうでした。
「そうかもしれない」


私は息がつまり、思考が停止してしまいました。




P.S.

心と体が両方とけてしまう感覚って、経験したことありますか?
しかも、相手と一緒に。

何をしてもどんなことをされても
自分も相手も完全に信じきって、受け入れてしまう感覚。

知ってしまうと、人生観が変わってしまいます。


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許しと拒絶 そして死守していること。 ~進化~

まだ、リョウの矛盾の根源を理解していなかった私は
なんとか、リョウが拒否していることを、拒否できなくすることはできないかと考えました。

リョウ自身、矛盾に気がついているのですから、そっと背中を押してあげれば
問題は、すぐに解決するのではないかと考えたのです。


そこで、ある方法をとることに決めました。
それは、自分を許してあげるという方法です。

頑強に抵抗するものに対して、真正面から立ち向かうのではなく
自分を許容し、許しを与えるという方法は、抵抗しがたい力を持つことが多いのです。


「自分が淫乱で、ヘンタイで、スケベになりたいって思っているのを、許してあげて。」
「今まで、リョウはやっぱりまじめに生きてきてさ。
 女性が淫乱だったり、スケベだったり、ヘンタイなのを許せなかったし
 自分がそうなるのを、絶対ゆるせなかったのね。」
「だから、まず自分を許してあげて。」
「自分できちんと言葉にして、許してあげて。」


私はゆっくり時間をかけて、リョウの拒否感を弱めるような話し方をしました。
かれこれ30分くらい、ゆっくりゆっくり説得していきました。
そして、最後に、リョウ自身に次の言葉を言わせようとしたのです。
「私は、自分が淫乱でスケベで、へんたいであることを許します」

慎重に・・丁寧に・・細心の注意を払って。
そして、この言葉を心から言わせようとした瞬間。

「できない」

リョウは、とたんに否定をしました。
ゆっくり時間をかけた説得は、一気に吹っ飛んでしまいました。


私は呆然としました。
どうして、こううまくいかないのか?
どうやってもダメなのか?

ここまで、リョウが必死に守るものは何なのか?
リョウの尊厳にかかわることなのか?
防御本能でも働いているのか?

そうでなければ、こんな拒絶の仕方なんて普通はできないはず・・・・

そう思ったとき、私はふと思い当たることがあったのです。



P.S.

7月の終わりの出来事をこうして日記にしていると
この頃と今のリョウの違いがあまりにもはっきりしていて
当事者の私自身、酷く驚いてしまいます。

この頃のリョウと、今のリョウは、まるで別人という感じです。
きっと、私自身も大きく変わっているのでしょう。
人は人に影響されて、大きく変わっていくものなのだというのを
改めて思い知らされます。

相手の自分への信頼感と
自分の相手への信頼感を
強く確信できる時に、男女のSEXは大きく変わります。

うまく、説明できないのですが
強く強く変わったことを、感じています。


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認知 ~進化~

私はわざと、リョウが嫌う言葉を選んで提案をしてみました。

「狂いたい、イキまくりたい、壊れたいと真剣におもうのであれば、対策はすごく簡単だよ。」
「自分のことを、淫乱でヘンタイでスケベだって認めればいい。」



リョウの返答は、非常にうやむやでした。
リョウは思いつくままに、そのうやむやな気持ちを私にこう告げました。


「藍に、イカせてもらった時(注:電マ責め)のあの前後、私自分で思うだけだけど、淫乱になってた」
「あのままもっと、淫乱になりたかった。藍と一緒に狂いたいとおもった。すごく藍を欲しいと思ってた。」
「だけど、何故だかわからないけど、急に淫乱だと思えなくなった」
「自分の中にすごく、強迫観念があって
 『このままもっと、淫乱にならなければならない
  このまま、壊れていかなきゃいけない
  このまま、狂ってしまわないといけない』
 そう思い始めたら、ふと周りが気になりだしたりして、冷静な自分が出てきた」


リョウは、話を続けました。


「そのあとも、何度も前に淫乱になれたのだから、同じ方法でなれるはずだって試した。」
「すぐにイケるようになれば、気持ちがイキやすくなるのはわかったから。」
「どんどん、自分を追い込んでいくのがわかった。
 なりたい理想の自分に近づけなくて、イライラして、もっと離れていった」


今思えば当たり前なのですが、私以上にリョウが苦しみ悩んでいたのです。
そしてリョウも、私も会話を進めていくうちに、次第にこの矛盾を強く意識し始めました。
変われない自分と、努力のむなしさに悩むリョウ。
変えてあげられず、うまく導いてあげられないことに悩む私。

単純な自己認知で、リョウの状態を変えることなどは所詮不可能なのです。
リョウの矛盾を解明しなくては、やはり答えは出ないのです。




P.S.

いつもは、継続ものであることを意識したタイトル付けなのですが
今回はわざと、タイトルを独立させています。
一連のものではないからです。


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リョウと藍

  • Author:リョウと藍
  • 快楽を求め続けてお互いに相手を狂わせて楽しんでいます。
    本ブログはYahoo! JAPANに掲載されています。

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