私がリョウにキスをする間、リョウはじっとしていました。
受け入れるでも、喜ぶでも、拒否するでもなく、ただじっとして
いました。
リョウのこの反応はある程度予想できていました。
だからこそ、私はこれ以上の行為をすればリョウに拒否されると
直感したのだとおもいます。
果たして・・・
予感は的中しました。リョウの唇を舌先で割ろうと思った瞬間に
リョウはそれを避けて一言いいました。
「やだ。」予感があったとはいえ、非常にショックでした。
やっぱり、ダメなのか? 前のように戻らないのか?
リョウは穏やかに、でもはっきりと拒否の態度を私に見せていました。
うつ伏せの体勢から私達は仰向けになって大の字に並んで
寝転んで話を続けました。
「今ね。ちょっと考えた」
「何?」
「ううん、なんでもない。」
「何?」
リョウは言うことをためらっていました。
私は気になって、一度口にしようとしたことは言うべきだと何度も
リョウにいいました。とうとうリョウも根負けして予想もしないこと
を言い出しました。
「当てて。普通の人だったら嫌がること。絶対されたがらないこと」
「何のこと?」
「普通の女性なら絶対されたがらないことよ」
「何?わからないよ。」
「わからないならいい。私がふと思ったことだから。
いいたくない。だから当てて」
「何だろう?」
いきなりのリョウの言葉はなぞなぞのようでした。
何度か聞きなおすうちに、私は段々分ってきました。
(まさか・・・むりやりされること? 強姦みたいに・・)
どうやら合っている様な気がしました。
でも、何故リョウがそんなことを考えたのか。それはこのときの
私には分る余地はありませんでした。
(つづく)
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