「ヒール・・はずすね。」なるべく平常心を保とうとしながら声を出したつもりでした。
でも、私の声は既に震えていたと思います。
「はずさせてください」と言いそうになるのを堪えていました。
リョウの足に手をかけてヒールを脱がそうとするのですが
手が意味もなく震えてしまいました。心臓がバクバクと鳴り
だしているのがわかりました。
パシャ
気がつくとリョウは私がヒールを脱がすためにおいておいた
カメラを取りあげて、ヒールを脱がす私の様子を写真に撮っていました。
(あぁ・・・・・)リョウは、女王様として奴隷の姿を写真に撮っているのでした。
そして、この写真は私のスイッチが入ってしまっている様を
後で見せるためのものに違いありません。
私はリョウのストッキングを履いた足を見ながら
興奮してしまっていました。
いえ、それは正確ではありません。
私がそんな風に興奮している様を、リョウが見ているのです。
私はリョウにそんな姿を見られていることにより興奮しているのです。
頭がくるくると回り始めていました。
何枚かアングルを変えながらリョウの写真を撮ったのですが
見つめているのは写真を撮っている私ではありませんでした。
被写体のリョウが私を見つけているのです。
無言で。
強い目の力で。
写真を撮り終えた時に私は既に息も絶え絶えでした。
リョウはヒールを履きなおして、ゆっくりと私に近づきました。
「立ってごらん。」(つづく)
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