そして、とうとうその日、その時がやってきました。
今まで、遠い遠い、いつたどり着けるのかわからないほど遠い
夢のような出来事だったことが、現実になるのです。
言葉を発するのも困難だと思えるほどの、急激な快感の駆け上がり。
突然、私の中でイクための坂道を登り始めたのです。
ここまで来れば、イクのはほぼ確実ですし
上り詰めるのも時間の問題です。
(早く、藍に伝えなければ・・)上手く働かない頭で、そう思いました。
「・・・・あ、あ、あ、あ、あ・・・イク・・
ねぇ、イキそう・・・ねぇ・・」必死で、藍にそのことを伝えました。
後ろで、少し驚いた声が聞こえた直後に
藍の動きが激しくなり、大きく声も部屋に響きました。
「イク・・イクよ、イクよ、イクいくいくいくいく、イク!!!」 どさっと、藍が倒れこみました。
本当は、そのまま交わっていたかったのですが
どうしても、不自由な体勢です。
私も藍に押されるようにして、前に倒れました。
二人の身体が離れます。
倒れこんだ後に、今起こった出来事が現実であるのか
思わず、確かめようとしました。
隣に寝転んだ藍の身体に触れました。
動かない重くなった自分自身の身体を、藍の方に移動させ
いつもの、私のポジションへと納まります。
荒い、息遣い。
汗が滴り落ちて、冷たくなったシーツ。
交わった後特有の、藍の匂い。
そして、笑い声。
嬉しそうな、藍の声。
藍の胸の辺りを、手を動かして
ここにいるのが藍だということ、藍の隣にいるのが私だということ
今、この瞬間を藍と一緒に過ごしたということを
無意識に確認しました。
目の辺りが熱くなって、藍に抱きつきました。
しがみついた、という方が適切かもしれません。
(つづく)
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