「掌に、たっぷりと唾液をつけてごらん。
それをどうするかわかるね?
そう、掌でこするんだよ。ゆっくりと、私がいつもするように、ね」とたんに、電話の声が苦しそうな声に変わる。
でも私は知っている。
それを、奴隷が嫌がっていないことを。
奴隷が、喜んで受け入れていることを。
もっと、苦しんでいいんだよ。
もっと、楽しんでいいんだよ。
もっともっと、お前はお前を解放していいんだよ。私の指示が、奴隷の身体を切り裂き
その身に被った様々な「社会的立場」という表皮を剥がして
奴隷の真の姿を、露わにする。
電話の向こうは、決して大声をあげてはならない場所だ。
喘ぎ声も、悲鳴も許されない。
そんな中、どれぐらい私は奴隷に拷問を強いただろう。
耐えられなくなった奴隷が、私に告げる。
「もう、お許しください」と。
奴隷の限界が近いことを知り、許しの言葉を述べる。
間もなく、かすれた叫び声のようにも聞こえる奴隷の絶頂の声が聞こえた。
しばしの沈黙。
「リョウさま・・?・・・あの・・・・」急いでその場を隠したいであろう奴隷の、戸惑った声。
いつもなら、すぐに片付けても良いと言う私だか
その日は違った。
(つづく)
奴隷へ ~小さな抵抗 シリーズ一覧
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