私は、いろいろな気持ちでリョウのことを抱いています。
貪るようにリョウを求めることも、獣のようにリョウを犯すこともありました。
好奇心に任せて過激なことを強要したがることもありました。
また、リョウが感じる時の表情が好きでとにかく逝かせたいの一心で抱いたこともありました。
いかにリョウに多くの快感を送り込むことができてリョウを狂わせることができるかに執着したこともあります。
でも、リョウのことが次第次第にわかるようになって
リョウの心や気持ちの変化を敏感に感じ取れるようになって来て
リョウを抱く時の気持ちは明らかに変わってきています。
自分中心の感情でリョウを抱いても、乾くだけで潤わないのです。
逆にリョウの気持ちと同調しながら抱くとなんともいえない幸福感を感じるのです。
自分のリョウを抱く時の気持ちの持ち方がリョウに傾いていくのを意識しながら、私には1つの疑問がわきあがってきました。
私は、結局どんな風にリョウを抱きたいのだろう?特に意識して答えを探していたわけではありませんが、心のどこかでいつも自問自答していました。
答えは、ふとした瞬間にあっけなく出ました。
それは、リョウと逢瀬の日のことでした。
ホテルに向かう途中で私はリョウにささやきました。
「ね、リョウ。今日ある抱き方をしようと思うんだ」リョウは、怪訝そうな顔で私を見つめ返します。
その目は、
「また、変なことしようとしてるのでしょう」という困惑の気持ちをありありと表していました。
リョウにこう思われても仕方のないことは過去に山のようにしています。
こんな風に誤解されても仕方ありません。
でも、数十分後に私が伝えたいと思っていた先ほどの答えを聞いて、リョウは嬉しさのあまり私をきつく抱きしめることになるのです。
(つづく)
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