その日リョウはやけに、はしゃいでいました。
普段の生活で自分を美しく飾るということがほとんど無い彼女にとって、私と一緒の時間は本来の女性を取り戻す時間ともいえるのかもしれません。
リョウがはしゃいでいる理由は、新しい浴衣のせいでした。
「藍に早く見せたかったの。見る?見る?」よほど気に入っていたのでしょう。
着替える前からとびっきりの笑顔が頬から零れ落ちそうな感じでした。
鏡の前で着替えて綺麗に化粧を済ませるまでなかなか姿を私に見せてくれませんでした。
「どう?」私の前に表れたリョウに私は少し絶句してしまいました。
綺麗だ・・・ それ以外何も思えませんでした。
私は手にデジカメを持ったままで思わず見とれてしまいました。
「すごくいいね。似合ってる。綺麗だよ」リョウは満面の笑顔を私に返しました。
「ありがとう。藍はこれ、きっと気に入ると思ったの。」深呼吸をして私はシャッターを押しました。
最初の1枚が今日の写真です。
(つづく)
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