この日の後半は、私が責められる番でした。
既に、リョウは私を亀頭責めしたことがあります。
リョウには経験が、私にはあのときの記憶がしっかりと焼きついています。
リョウは、私をベッドに寝かせると、優しくキスをしました。
唇から顔、耳、そして全身へ。
リョウの判を押すような優しい舌先が私の全身を多い尽くす・・・そんな感じでした。
責めに入る直前に私は、リョウに縛って欲しいとお願いしました。
というのも・・・きっと私は暴れてしまうと思ったからです。
前回も快感に耐え切れず手がどうしようもなく暴れたくなってしまっていたのです。
リョウは慣れない手つきで、私の右手を縛りベッドの右上の脚に縛りつけ、同様に
私の左手を縛りベッドの左上の脚に縛りつけました。
ロープの準備は2本だけだったので、脚はそのままの状態でした。
怖い・・・・すごく怖い。
私がリョウに縛られながら、次第に身動きができなくなりながら感じたことは
ひたすら怖いでした。
勿論、リョウは私に危害を加えたりあるいは私の嫌がることを無理やりしたりはしません。
そんなことは十分わかっているのです。
でも・・・怖いのです。すごく怖い。
私は、縛られながら何度も何度もリョウに言いました。
「怖い、ね、リョウ、すごく怖いよ。。ねぇ・・」そして、この日最大の縛りを私は受けることになります。
リョウは、私の目をじっと見つめながらこういいました。
「怖いっていっちゃダメ。いったらやめるよ」え?ええ??
私は急に怖いといえなくなりました。
別に、責められたいからいえなくなったのではないのです。
そういうことではないのです。
縛られて、責められる立場の人間にとって、責めるほうの人間の言葉は絶対です。
私はもう、怖いといえなくなりました。
怖いと言葉にできないと、それはそれは怖くなります。
私はリョウの立った一言で完全に心を縛られて
この日最大のショックを受けたのでした。
(つづく)
P.S.
幸せな時間というものは、失って初めてわかるものなのかもしれませんね。
なかなか人生思うようにはいかないものです。
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