私はわざと、リョウが嫌う言葉を選んで提案をしてみました。
「狂いたい、イキまくりたい、壊れたいと真剣におもうのであれば、対策はすごく簡単だよ。」
「自分のことを、淫乱でヘンタイでスケベだって認めればいい。」リョウの返答は、非常にうやむやでした。
リョウは思いつくままに、そのうやむやな気持ちを私にこう告げました。
「藍に、イカせてもらった時(注:電マ責め)のあの前後、私自分で思うだけだけど、淫乱になってた」
「あのままもっと、淫乱になりたかった。藍と一緒に狂いたいとおもった。すごく藍を欲しいと思ってた。」
「だけど、何故だかわからないけど、急に淫乱だと思えなくなった」
「自分の中にすごく、強迫観念があって
『このままもっと、淫乱にならなければならない
このまま、壊れていかなきゃいけない
このまま、狂ってしまわないといけない』
そう思い始めたら、ふと周りが気になりだしたりして、冷静な自分が出てきた」
リョウは、話を続けました。
「そのあとも、何度も前に淫乱になれたのだから、同じ方法でなれるはずだって試した。」
「すぐにイケるようになれば、気持ちがイキやすくなるのはわかったから。」
「どんどん、自分を追い込んでいくのがわかった。
なりたい理想の自分に近づけなくて、イライラして、もっと離れていった」
今思えば当たり前なのですが、私以上にリョウが苦しみ悩んでいたのです。
そしてリョウも、私も会話を進めていくうちに、次第にこの矛盾を強く意識し始めました。
変われない自分と、努力のむなしさに悩むリョウ。
変えてあげられず、うまく導いてあげられないことに悩む私。
単純な自己認知で、リョウの状態を変えることなどは所詮不可能なのです。
リョウの矛盾を解明しなくては、やはり答えは出ないのです。
P.S.
いつもは、継続ものであることを意識したタイトル付けなのですが
今回はわざと、タイトルを独立させています。
一連のものではないからです。
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