わざと、黒いドレスのような服を着て、藍に会いに行く。
これは、私の戦闘服。
これから、私が藍を奈落の底へ突き落とすための
心と身体の準備。
前日の夜話をした、熱い記憶を蘇らせながら起きた私の
今朝、起きるなり気持ちが高揚して、身体が熱を帯びたであろう藍の
二人のための、楽しい一日のための準備。
待ち合わせ場所で会った瞬間の藍の顔は
今でも鮮明に思い出せる。
「落ちている顔」そのもの。
私が過去に、幾度と無く撮った写真の中の藍の表情と同じ顔。
私に責め落とされ、心を奪われている時の藍の顔。
でも少し、私にそんな姿を見せてしまって、嫌われるのではないかと
危惧している時の顔。
「落ちていいの?」と、不安げにこちらを見上げた時の顔。
写真を撮られて、恥ずかしさに心を震わせている顔。
いろんな藍の表情が交じり合って作り上げられた、Mの顔。
これから私に落とされることを期待した、Mの顔。
「会う前から、落ちた状態でいて」という
今朝送ったメールそのものの表情をした藍を連れて、私は部屋へと向かう。
(つづく)
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