「おいで」ソファーに座り
これからどうしたらいいのかわからず立ちすくんでいる藍に、声をかける。
私は女王様じゃない。
だから、女王様がしてあげないことをしてあげよう。
女王様じゃないからこそ、してあげられることを。それは、普段
「愛してる」と伝えるためのキスとは、明らかに違うキス。
私が一方的に、藍の唇を啄ばむような、そういうキス。
それでもそこに、もちろん
「愛してる」との意味を込めて。
「愛してる、愛してる、愛してる・・」口には出さないけれど、ひとつひとつ丁寧に
一度啄ばむごとに、話しかけるようにキスをした。
藍は・・・
驚いていた。
当然のこと、だ。
それでも続ける。
「愛してる、愛してる、愛してる・・」しばらくキスを続けた後、いつもと同じように
藍の身体に手を伸ばす。
びくん・・と、手の動きに反応して、全身に緊張が走るのが見えた。
「あ・・あ・・・・あぁああ・・・」藍の身体の緊張とは逆に、その時から私の身体の緊張は緩む。
ここからはもう、私の好きにしても良いのだから。
(つづく)
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