リョウはようやく私自身を自分の体に迎え入れることができて、次に引く続くはずの快感を待っている様に見えました。リョウの体の中はいつもより火照っていました。
先ほどまでの長い私の愛撫で火が付いた体はそのままの状態で私自身を待っていたようです。
「リョウ。このままじっとして。力を抜いて。私を受け入れて。」私はリョウに倒れこむようしてリョウの背中に両手を回して抱きしめました。
リョウは一瞬、私の言う事の意味がわからない様子でしたが私が体を寄せると私の背中と首に両手を回して抱きしめてくれました。
ベッドの上でお互いにしっかりと抱き合ったままの状態で私達は一切体を動かさないで交わっていました。
次第に、ばらばらだった呼吸が同期していきます。同じタイミングで吸って同じタイミングではくようになります。
心臓の鼓動が、血液の流れがわかってきます。リョウが生きているということがたまらなく嬉しく感じて、そして自分の体の感覚を通してリョウの体の様子がわかってくるのです。
私の体とぴったりと張り付いているリョウの皮膚は、最初は相手のことを別のものが接触していると感じているのですが次第に境界がわからなくなってきます。
自分の存在とリョウの存在は別物ではないのだという感覚になって行きました。
リョウの感覚が段々私に移ってくる感じがしました。リョウの感覚と自分の感覚が混ざっていくようなそんな感じがしました。
私はリョウに自分自身を挿入しています。だから私には挿入感覚は確かにあるのです。でも、同時に私は挿入されている気持ちにもなりました。リョウの体の中に私が入っていってリョウの内側から私自身が挿入されている感覚を理解する・・・そんな感じなのです。
勿論それは錯覚なのかもしれません。私の単なる想像から生まれた擬似感覚なのかもしれません。でも、私はその感覚を幸福なものだと感じました。気がつくとリョウを抱きしめる力が強くなってもっともっと自分とくっつけようとしていました。
(つづく)
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