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目覚め(その9)

「どうして離すの?」

私の陶酔感を一気に覚ましたのはリョウの一声でした。
気がつくと、私の口元からリョウの足の親指は零れ落ちていました。

私は自分がそれに気がついていなかったことにびっくりしました。
そして、その次にもっと大きな恍惚感に浸ってしまいました。

リョウ言葉・・・・
優しい口調でした。厳しく叱るようなものではありませんでした。
言葉のとおりに疑問形の言葉に聞こえるほどでした。

でも・・私の精神状態ではこの言葉は違う意味に翻訳されました。
叱られた。命令された。
今までの人生で感じたことのない感覚。
言葉に酔いました。どうしようもないくらい酔いました。

早くちゃんとしなきゃいけない
そう心の中では思っているのに体は全く言うことを聞かないのです。
それ以上に、この言葉を言われた時の陶酔感にもっと浸っていたいとも考えていました。
焦り、パニックを起こす私。
リョウは少しいらついたように自分で足の指を私の口に入れてきました。

またもや私を襲う幸福感。
リョウはどうして私が「感じる」ポイントをきちんと理解して的確にそこを突いてくるのでしょうか?
肉体的な責めだけでなく、精神的なことまでリョウに完全に支配されてしまうのでしょうか?

少しだけ指を舐めることができました。
すぐにまた、私の口からこぼれてしまったような記憶があります。


自分で自分の体がコントロールできなくなりました。
自分で自分の感情や意識をコントロールできなくなりました。

一連のリョウの言葉、口調、行為、仕草。
その全てが圧倒的な幸福感となって、1つ1つが波のように私を襲い包んでいきました。何度も何度も思い出し、反芻し、その度に恍惚とした気持ちになりました。

こんなに一度にいっぱいの恍惚感はいらないのに。
もっと1つづつゆっくりこの恍惚感に浸らせてくれればいいのに。



これが、被虐心というものなのでしょうか?
私にはどうもしっくりとこの言葉がなじまないでいます。
「虐」を受けている感覚が全く無いのです。
この言葉自体がまったく見当はずれなことのように感じるのです。

では、何なのか?
幸福感、恍惚感。。。分類としては意味の無いものですが、私が感じたのはこの2つ以外の感情ではないように思えます。


(つづく)







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リョウと藍

  • Author:リョウと藍
  • 快楽を求め続けてお互いに相手を狂わせて楽しんでいます。
    本ブログはYahoo! JAPANに掲載されています。

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